2026年7月24日
ポイント
●鱗食魚の「利き」が、襲撃方向だけでなく獲物への接近位置にも現れることを発見。
●AI動画解析技術を用いて、捕食魚と被食魚の動きを同時に追跡。
●鱗食魚には2種類の捕食戦略が存在し、いずれも高い捕食成功率を示した。
概要
北海道大学大学院理学研究院の竹内勇一准教授らの研究グループは、アフリカ・タンガニイカ湖に生息する鱗食魚Perissodus microlepisを対象に、捕食行動を詳細に解析しました。本種は他の魚の鱗だけをはぎ取って食べる特殊な魚で、口の形が左右どちらかにねじれています。この左右差は「利き(側方化)」に対応しており、左利きの個体と右利きの個体では攻撃する方向が異なることが知られていました。
本研究では、人工知能(AI)を用いた動画解析技術「DeepLabCut」により、捕食魚と獲物の動きを同時に追跡しました。その結果、口の左右差は襲撃方向だけでなく、襲撃を開始する位置にも影響することを発見しました。左利きの個体は獲物の左側から、右利きの個体は右側から襲撃を開始する傾向を示しました。さらに、鱗食魚には、獲物の後方から接近する「後方接近」と、側方から素早く突進する「側方接近」という2種類の捕食戦略が存在することも明らかになりました。この結果は、昨年報告した「利き眼」による捕食行動制御の研究とも関連している可能性があります。
本研究は、動物の「利き」が運動の実行だけでなく行動計画の段階にも関与する可能性を示すとともに、捕食者と被食者の進化的な駆け引きを理解する新たな手がかりを提供するものです。
なお、本研究成果は、2026年7月20日(月)公開の生物学専門誌 Biology Open にオンライン掲載されました。
論文名:Prey capture strategies relate to prey position in the scale-eating cichlid Perissodus microlepis(鱗食魚Perissodus microlepisにおける捕食戦略と獲物位置との関係)
URL:https://doi.org/10.1242/bio.062699
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タンガニイカ湖に生息する鱗食魚 Perissodus microlepis(左)。他の魚の体表の鱗をはぎ取って食べる特殊な捕食魚で、口の形に左右差(利き)がある。本研究では、この利きが攻撃方向だけでなく、獲物への接近位置にも影響することを明らかにした。