2026年3月2日
ポイント
●二生吸虫のレジア幼生の繁殖分業を、日本沿岸の巻貝に寄生する種Cercaria batillariaeで発見。
●「兵隊型」レジアは敵への攻撃に特化した武器形質の構造をもつことを世界で初めて解明。
●繁殖分業を行う他の生物と同様に、兵隊型レジアの形態の機能的な特殊化を示唆。
概要
北海道大学大学院水産科学院修士課程の三浦健太郎氏、同大学大学院水産科学研究院の和田 哲教授、高知大学農林海洋科学部の三浦 収教授は、巻貝の寄生虫である二生吸虫Cercaria batillariae(セルカリア・バティラリアエ)のレジア幼生は、繁殖を行う「繁殖型」と、繁殖を行わず敵への攻撃に特化した「兵隊型」の二型を示し、繁殖分業を行うことを実証しました。さらに、繁殖型と兵隊型では、武器形質である咽頭の構造が異なり、兵隊型は敵の攻撃に特化した咽頭をもつことを世界で初めて解明しました。
繁殖分業とは、アリやハチなどのように、生物の集団において繁殖とそれ以外の労働や防衛などを、それぞれ異なる個体が役割分担する現象です。繁殖分業は陸上生物で研究が発展してきましたが、近年、水生の巻貝に寄生する二生吸虫のレジア幼生も繁殖分業を行うことが実証されました。兵隊型レジアは、巻貝の体内に侵入した敵である別種の二生吸虫に、咽頭で吸い付いて攻撃します。本研究では、日本沿岸の潮間帯に広く分布するC. batillariaeのレジアが、形態的・行動的に二型を示し、繁殖分業を行うことを初めて実証しました。さらに、咽頭の構造を透過型電子顕微鏡で観察し、繁殖型と兵隊型で比較することで、兵隊型の咽頭は、敵を効率的に攻撃するために、厚い筋肉の層と内壁の突起をもつことを世界で初めて明らかにしました。
本成果は、他の繁殖分業を行う生物と同様に、二生吸虫のレジア幼生においても役割に合わせて身体構造を変化させる、形態の特殊化が起きていることを示す重要な発見です。
本研究の成果は、2026年2月11日(水)公開のBiology Letters誌にオンライン掲載されました。
論文名:Anatomical and functional specialization of the soldier caste in a heterophyid trematode, Cercaria batillariae(異形吸虫科吸虫 Cercaria batillariae の兵隊カーストにおける解剖学的・機能的特殊化)
URL:https://doi.org/10.1098/rsbl.2025.0687
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