2024年12月12日
【賞の概要】
地⽅独⽴⾏政法⼈⻘森県産業技術センター⾷品総合研究所の宮部好克⽒(令和 5 年 9 ⽉北海道⼤学
⼤学院⽔産科学院博⼠後期課程修了)、落合瞳⼦⽒と北海道⼤学⼤学院⽔産科学研究院の熊⾕祐也准教
授、岸村栄毅教授らの研究グループは、新たな⾷資源の開発を⽬指して、低利⽤海藻である紅藻ダル
スと褐藻マツモに着⽬し、それら海藻素材から製造したレトルト⾷品について、栄養成分がレトルト
加⼯処理によって受ける影響を調べました。
本研究は直交表*1を⽤いた実験計画法*2により、海藻レトルト⾷品の加⼯⼯程において種々の要因
が藻体の栄養成分や抗酸化⼒に及ぼす影響を解析しました。原材料(ダルス、マツモ)、包装条件(真
空包装、窒素充填包装)、調味液(5%⾷塩⽔、サラダ油)、加熱温度(115℃、120℃)、加熱時間(30
分間、60 分間)の 5 項⽬を要因に設定して解析しました。その結果、原材料は⽔分、脂質、灰分、炭
⽔化物、EPA、Na、K、DPPH ラジカル消去活性*3 に、包装条件は⽔分に、調味液は⽔分、脂質、灰
分、炭⽔化物、EPA、Na に、加熱温度は⽔分、脂質、タンパク質、EPA、Na に、加熱時間は⽔分に影
響を及ぼすことが判明しました。しかし、包装条件および加熱時間が⽔分に及ぼす影響の寄与率は低
いものでした。以上のことから、海藻レトルト⾷品の加⼯⼯程において藻体の栄養成分および抗酸化
⼒を保持するためには、原材料、調味液および加熱温度が重要な制御要因であることが明らかになり
ました。
⽇本調理科学会誌に掲載された本研究成果の報⽂が公益社団法⼈⽇本⽸詰びん詰レトルト⾷品協
会より「令和 6 年度逸⾒賞授賞報⽂」に選出されました。