2024年12月12日
ポイント
●日本に生育するマコンブは地域ごとに独自の遺伝子型を持つことを確認。
●マコンブの産地が推定できる可能性の高い遺伝子領域を示唆。
●原産地の虚偽表示防止に期待。
概要
北海道大学大学院水産科学院修士課程2年の地崎賢汰氏、同大学大学院水産科学研究院の秋田晋吾助教、宇治利樹助教、水田浩之教授らの研究グループは、日本に生育するマコンブが地域ごとに特徴的な遺伝子型を持つことを明らかにしました。
マコンブSaccharina japonicaは北朝鮮、極東ロシア、日本に分布する、水産的な価値が極めて高い海藻です。日本では北関東から北海道にかけて分布していますが、東北以南を含めた本邦の分布域全域で地域ごとの遺伝的な特徴を調べた研究はありませんでした。そこで、本研究では、各地から収集した483個体についてミトコンドリア遺伝子のnad3-16S rDNA領域の配列を決定し、日本におけるマコンブの遺伝的地域性を調べました。その結果、日本に生育するマコンブは地域ごとに特徴的な遺伝子配列を持つことが分かりました。これを受けて、オンラインデータベースで公開されている塩基配列に基づいて、nad3-16S rDNA領域でマコンブの産地が推定可能か評価し、既往研究で使用された領域と比較してより高解像で産地の推定が可能であることが分かりました。さらに、常磐地域である茨城県北部と福島県に不連続に分布するマコンブについては、遺伝的多様性が低いうえに、北海道や東北と共通した遺伝子型が検出されたため、国内移入によって形成された集団であることが示唆されました。これらの成果により、原産地の虚偽表示の防止が期待されます。
なお、本研究成果は、2024年11月6日(水)公開のJournal of Applied Phycology誌に掲載されました。
論文名:Genetic structure of Saccharina japonica in Japan and evaluation of a potential mitochondrial region for identification of geographic origin(日本に生育するマコンブの遺伝的構造と地理的起源を同定できる可能性があるミトコンドリア領域の評価)
URL:https://doi.org/10.1007/s10811-024-03379-8
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