2024年2月27日
ポイント
●沖縄県瀬長島で採取された海藻表面から、Algoriphagus sp. oki45株の単離に成功。
●本株が産生するモノサイクリックカロテノイドとして、2-hydroxyflexixanthinを新たに同定。
●本株ゲノム中に、2-hydroxyflexixanthinの生合成に関わると予想される九つの遺伝子を推定。
概要
北海道大学大学院水産科学研究院の高谷直己助教、細川雅史教授、澤辺智雄教授、別府史章准教授、一般財団法人生産開発科学研究所の眞岡孝至理事の研究グループは、海洋細菌Algoriphagus属細菌が産生する新規モノサイクリックカロテノイドを同定するとともに、その生合成に関わると予想される一連の遺伝子を見出しました。
近年、動植物中に含まれる天然の脂溶性色素「カロテノイド」が持つ、抗酸化作用など多様な健康機能性が注目されています。β-カロテンやリコペンをはじめとして、これまでにおよそ1,000種類がカロテノイドとして確認されていますが、片方の分子末端のみ環状化された「モノサイクリックカロテノイド」は希少物質で、その種類や生産者、生理活性に関する知見は十分ではありませんでした。本研究では、沖縄県瀬長島で採取した海藻から、Algoriphagus sp. oki45株を単離するとともに、本株の産生するモノサイクリックカロテノイドとして(3S)-flexixanthinに加えて、(2R,3S)-2-hydroxyflexixanthinを新たに同定しました。また、本株のゲノム中に、flexixanthinの生合成に必要な八つの遺伝子(crtE, crtB, crtI, cruF, crtD, crtYcd, crtW, crtZ)に加えて、末端環の水酸化反応を触媒するcrtGと相同性のある遺伝子を見出しました。本研究成果は、未だ不明な点が多いモノサイクリックカロテノイドの生合成系に新たな知見をもたらすとともに、単離したモノサイクリックカロテノイドの生理活性の探索や、大腸菌などを用いた異宿主生産系における遺伝子資源としての活用に繋がることが期待されます。
なお、本研究成果は、2024年1月11日(木)公開のApplied Microbiology and Biotechnology誌にオンライン掲載されました。
論文名:Identification of a novel monocyclic carotenoid and prediction of its biosynthetic genes in Algoriphagus sp. oki45(Algoriphagus sp. oki45株における新規モノサイクリックカロテノイドの同定とその生合成遺伝子の推定)
URL:https://link.springer.com/article/10.1007/s00253-023-12995-2
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