2022年12月5日
北海道大学
東北大学
順天堂大学
北里大学
ポイント
●海綿から造血サイトカインの性質を持つトロンボコルチシン(ThC)を発見。
●ThCが新しいメカニズムでサイトカイン受容体を活性化させることを解明。
●血液のがんである骨髄増殖性腫瘍の発症メカニズム解明に期待。
概要
北海道大学大学院水産科学研究院の酒井隆一教授、東北大学大学院生命科学研究科の田中良和教授、順天堂大学大学院医学研究科の荒木真理人客員教授、小松則夫特任教授、北里大学理学部の松井 崇講師らの研究グループは、海洋生物である海綿から得た新規のタンパク質トロンボコルチシン(ThC)がトロンボポエチン(TPO)受容体を活性化することを見出しました。
TPO受容体の活性化は血液の素である造血幹細胞から血小板への分化を誘導するほか、造血幹細胞の維持にも深く関与しています。一方で、TPO受容体の異常な活性化は骨髄増殖性腫瘍などの血液がんの発症に関わっていると考えられていますが、その詳細な機構は不明です。本研究ではThCの詳細な構造と受容体活性化機構を解明しました。本研究成果はTPO受容体の異常な活性化により引き起こされる血液がんの発症メカニズムの解明に貢献することが期待されます。
なお本研究成果は、2022年11月25日(金)公開のNature Communications誌にオンライン掲載されました。
論文名:A marine sponge-derived lectin reveals hidden pathway for thrombopoietin receptor activation(海綿のレクチンによるトロンボポエチン受容体の新しい活性化機構の解明)
URL:https://doi.org/10.1038/s41467-022-34921-2
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