阿部泰人助教が2021年度日本海洋学会秋季大会において「日高論文賞」を受賞されました。おめでとうございます。
おしょろ丸の模型の前で賞状とメダルを手にする阿部助教(撮影者:鈴木雄貴氏)
2021年9月13日~17日の期間にオンラインで開催された2021年度日本海洋学会秋季大会(創立80周年記念大会)において、海洋計測学講座の阿部泰人助教が、日高論文賞を受賞しました。
受賞対象となった論文は、Journal of Oceanographyに掲載された以下の論文です。
Abe,H., N. Ebuchi, H. Ueno, H. Ishiyama, and Y. Matsumura, 2019: Aquarius reveals eddy stirring after a heavy precipitation event in the subtropical North Pacific. J. Oceanogr., 75, 37–50.
阿部助教は、近年利用可能となった新たな衛星観測変数である海面塩分などを用いて、海上に雨が降った時の海洋表層での塩分応答について調査を行いました。先行研究で、淡水として供給された降水が海水を低塩化することが報告されておりますが、本論文は、数日経過すると、海洋に存在する100kmスケールの渦がその回転流によって塩分の回転模様を作り出し、流れを可視化することを突き止めました。その後、渦の中に低塩分水が取り込まれ、伝播特性を持つ渦とともに西方へと輸送されることを発見しました。本研究で明らかになった知見は、今後、降水に対する海洋生物の応答を理解する上での基礎となり、さらに海洋数値モデルの改善につながるものと期待されます。