キャンパス・コンソーシアム函館が主催する合同研究発表会「HAKODATEアカデミックリンク2024」(https://www.cc-hakodate.jp/academiclink-web/)が函館市青年センターにて開催されました(会期:11月11日)。本発表会は、函館市内の高等教育機関で学生らがどのようなことを学び、研究しているのかを広く市民の皆様に知って頂く事を目的とし、特に函館の高校生に内容を知ってもらいたいという趣旨で行われています。ブースセッションにおいて61チーム、ステージセッションにおいて8チームが参加し、北海道大学水産学部から2チームが受賞となりました。おめでとうございます!
◇優秀賞(ステージセッション)
テーマ:低利用資源「海のパセリ」のここがすごい! ~糖尿病予防に寄与する可能性を明らかに~
チーム名:Healsea weed
修士1年 太田 龍成、修士2年 馬場 惇平、学部4年 石川 勇斗
所属:海洋応用生命科学部門 水産資源開発工学分野
指導教員:岸村 栄毅 教授、熊谷 祐也 准教授
研究内容
紅藻ダルス(Devaleraea inkyuleei)はタンパク質や食物繊維を豊富に含み,海のパセリと呼ばれる海藻です。ダルスは函館近海のコンブ養殖ロープに繁茂し,コンブの成長を阻害することから除去されています。しかし,その資源量が豊富なことから,未利用資源ダルスを食品・機能性成分としての利用できないかと考えて,ダルスに含まれる健康機能成分について研究しています。
これまでにダルスタンパク質に高血糖につながる酵素の働きを抑制する機能を見出しました。本発表では,タンパク質のどのような成分が酵素の抑制に関わるのか検討しました。ダルスタンパク質は紅藻の赤色成分であるフィコエリスリンが主成分でした。それをプロテアーゼでペプチドにしたものに高い阻害作用が得られました。コンピューター解析により,ダルスタンパク質を食べたときに生じるペプチドを予測し,高血糖の酵素との作用機構について調べています。
◇優秀賞(ブースセッション)
テーマ:道東赤潮原因藻類の増殖に関与する細菌の機能解析
チーム名:赤潮
学部4年 岸本 竜
所属:水産学部 資源機能化学科
指導教員:藤田 雅紀 准教授
研究内容
2021年秋に道東沿岸で大規模赤潮が発生し、サケやウニなどが大量死した。その原因藻類は渦鞭毛藻Karenia selliformis(K.s.)であり、赤潮優占種として国内で初めて観測された。今回のK.s.大量増殖には気候や海況など複数の要因が指摘されており、また生物学的要因の一つとして赤潮周辺海水から分離され、K.s.の成長を促進するSulfitobacter sp. #17株の存在が報告されている。本研究では、#17株のK.s.成長促進機構の解明を目標に、まずは細菌抽出物等を用いて簡便かつ安定して増殖活性を検出する方法の確立を行っている。具体的には、K.s.株の無菌化、K.s.の増殖条件の検討、菌体抽出物を添加する手法の検討などが挙げられる。道内で初めて観測された大規模赤潮の発生機構の一端が解明され、最終的には同様の赤潮の早期警戒や対策法の確立の一助になると期待される。