北海道大学大学院水産科学研究院(以下、水産科学研究院)と岩手県九戸郡洋野町を拠点とする株式会社北三陸ファクトリー(以下、KSF)は、2023 年 10 月 26 日(木)に連携協定を締結いたしました。
本協定は、日本各地及び世界各地における磯焼け対策としてのウニ養殖並びに藻場再生技術の実用化に向けて、水産科学研究院が学術的知見を、KSF が社会実装試験等の作業を担い、協働して活動を推進することで、磯焼け対策に必要な研究開発及び実用化に向けた社会実装試験を行うことを目的とします。
協定書を手にする下苧坪之典 株式会社北三陸ファクトリー 代表取締役・最高経営責任者(左)と都木靖彰 水産科学研究院長(右)
【協定締結に至った経緯】
水生生物の繁栄に無くてはならない海藻群落「藻場」が衰退してしまう「磯焼け」が沿岸の環境問題になっています。磯焼けの要因として考えられるものの一つに、地球温暖化等によって生息数が増えたウニが海藻類を食べ尽くしてしまう食害があります。食害による磯焼けの対策としては、増えてしまったウニを駆除する方法がありまが、磯焼け海域のウニは実入りが悪く、商品価値が無いため放置され、磯焼け海域の拡大を招くことが問題になっています。
水産科学研究院と KSF の連携は、洋野町でも磯焼けが拡大し始めたことから、株式会社ひろの屋の代表取締役である下苧坪之典氏から、ウニ養殖技術の知見を持つ水産科学研究院の浦 和寛准教授へ水産業振興の支援を依頼したのがきっかけで始まりました。その後、株式会社ひろの屋は、KSF を戦略的子会社として設立し、KSF と浦准教との共同研究による「ウニ再生養殖事業」を進め、現在に至っています。
協定締結後は日本各地において藻場再生を含めた沿岸漁業の再生技術の普及活動を推進して参ります。また、KSF がオーストラリアに 2023 年に子会社を設置したことから、KSF をハブとして海外への波及効果も期待されています。
【連携の内容】
(1)各種ウニの養殖技術開発に関すること
(2)藻場再生技術に関すること
(3)(1)及び(2)の実施に伴う社会・産業振興及び教育人材育成に関すること
(4)その他目的達成に資すること
【協定の有効期限】
2023 年 10 月 26 日~2024 年 3 月 31 日
関係者による集合写真