北海道大学 大学院水産科学研究院 大学院水産科学院 水産学部

英語サイトへ 北海道大学

資源機能化学科

海洋の生物資源を総合的かつ有効に活用するための基礎理論と高度な技術を教授する。特に、多様な海洋生物の持つ生命機能と特性を解明・応用して食糧資源・生物化学資源として高度に利用するとともに、安全・安心に利用する観点から、化学、生物学、生化学、食品学、工学にまたがる学際的教育を行い、食品、化学、薬品、生物工学、安全管理等の広範な職業領域において活躍しうる人材を養成します。

担当教員

※五十音順

研究紹介

水産物とヒトの健康

写真

海藻からの抗肥満成分の抽出実験

日本人は昔から海の恵みを大事にしてきました。魚、海藻、貝などの水産物は大切な食糧として縄文時代から利用されています。そして、今、最新の科学が海洋生物に含まれる様々な成分の機能性を明らかにしつつあります。例えば、ステーキやフライを食べ過ぎると太ったり、血液中の脂肪が増えてしまいます。これは、肉の脂やフライ油のためです。ところが、魚の油はこうした影響がないどころか逆に体の脂肪が減少します。水産物中からは、他にも様々な有効成分が発見され、その機能性が、分子レベル、遺伝子レベルで解明されるようになりました。でも、こうした研究はまだそのスタートに立ったに過ぎません。皆さんも水産物の健康機能性について研究してみませんか?

ピチピチとした新鮮な魚の夢

ヒラメ刺し身の酸素パック保蔵


心臓が停止しても、しばらくの間は組織や細胞は活動を続けています。この理由は、そこに生命エネルギー(化学エネルギー)である「ATP(アデノシン3リン酸)」が残っているから。つまりこの「ATP」を供給し続けることができたら、その組織は生き続けることができるわけです。そこで最先端の臓器移植の技術を、魚介類の鮮度保持技術に応用。魚の切り身や貝柱だけを「酸素パック」して、生きているのと全く同じ状態で数日程度、保存する技術開発が進められています。これが成功すれば、まさに生きたままの鮮度の高い魚介類が、日本中どこでも食べることができるようになり、魚介類の流通や食品安全面に革命的な飛躍をもたらすことが期待されます。

バイオセパレーション・サイエンス

写真

タマゴの白身から作った凝集剤による泥濁水の浄化実験


バクテリアやタンパク質を利用して、きれいな水環境をつくるための分離素材を開発しています。これまでの分離素材のほとんどが化学薬品や化学合成物質ですが、バクテリアやタンパク質を利用すると環境に安全な生物分解性の分離素材を作ることができます。例えばバクテリアから作った吸着剤は、水中の有害金属(六価クロム、ヒ素、カドミウムなど)を除去してくれます。また、タンパク質 から作った分離素材は、濁った泥水をアッという間にきれいにし、アオコや赤潮などの有害なプランクトンも除去してくれるなかなかの優れものです。バイオセパレーション・サイエンスから生まれたこれらの技術は、いま実用化の道を歩みはじめています。