北海道大学 大学院水産科学研究院 大学院水産科学院 水産学部

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増殖生命科学科

海洋生物資源の効率的かつ低環境負荷型の新世代の増養殖生産技術の開発に必要となる、生命科学に関する基礎知識(具体的には、海洋生物の生理学、生殖学、発生学、育種学、遺伝学、微生物学、防疫学、生物工学など)と、先端技術(蛋白質および遺伝子レベルでの分子生物学的研究手法,遺伝子組換え技術、受精卵操作、ジェノミクス、プロテオミクスなど)を教授するとともに、海洋生物の生命科学や増養殖技術に関する研究を指導することで、幅広い視野を持ち、社会に貢献しうる人材を育成します。

担当教員

※五十音順

研究紹介

クローンの仕組みを学ぶ

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クローン発生の見られるドジョウ(右)とヒドジョウ(左)


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スサビノリのクローン種苗


クローンと聞くと、何か遺伝子操作を加え新種の人造魚でも作っているのかと思う方もいるかもしれませんが、水産生物の中にはクローン発生を自然に行っている天然の「クローン魚」「クローン海藻」がいること、知っていますか?このような面白い資源現象の仕組みを染色体、細胞、あるいはタンパク分子や遺伝レベルで解明できれば、同じ自然の状態を人工的に起こせるかもしれません。そこで増殖できた水生生物は、機能的な食品や薬品の検査、環境汚染の研究などさまざまなことに利用できると思われます。そう、天然のクローンの仕組みは、不思議で多くの可能性を秘めているのです。

魚の卵と精子ができる仕組み

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世界で初めて得られたウナギの孵化仔魚


私達人間を含め地球に生息する動物は、全て卵と精子によってその生命が受け継がれています。この卵や精子ができる仕組みは、複雑でとても神秘的です。しかしそのメカニズムは謎だらけです。もし、このメカニズムが明らかになって、人間がちょこっとだけ手助けをして、卵や精子をたくさん得られるようになったら、食料資源は増えますし、絶滅の危機に瀕している生物も救うことができます。最近、環境ホルモンの為に生殖能力が落ちている生物の話をよく聞きますが、卵と精子ができるメカニズムが解れば、われわれ生物を環境ホルモンの恐怖から救う手立ても生れてくるでしょう。

海洋生物の不思議な能力を役立てる

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生物工学分野の実験風景


海には、私たちの知らない“不思議な力”をもつ生物が、まだまだたくさんいます。“豊かな人間生活”に、そして“健康な魚の生産”に、海洋生物の不思議な力を生かした研究を進めています。たとえば、アワビやホタテは紙資源の再生に役立つ消化酵素をつくりだすことができます。現代生活に欠かせない燃料やプラスチックをつくりだす海洋生物もいます。サケやウニを殺してしまう微生物がいる一方で、サケやウニを助ける微生物もいます。この不思議な力の源となるタンパク質や微生物を詳しく調べ、誰でも簡単に使えるように加工することで、社会に役立てることができます。この研究分野を、バイオテクノロジーと呼びます。私たちと一緒に、海洋生物の不思議な力を追究しましょう。