海洋資源科学科
生物、物理、社会科学を基礎とし、海洋生物資源の総合的・持続的利用を目指し、生物資源と海洋環境の調査・計測、情報解析ならびに生産システムの構築に関する総合的教育と研究を行います。また、これらの知識と技術を基盤として、国際協力、産業振興、資源保護の立場から、国内外における水産資源の管理、生産、利用にわたる広範囲な総合的課題に取り組むことのできる人材を育成します。
担当教員
※五十音順
研究紹介
全海洋をリアルタイム計測!
水産生物の住処となる海洋を、地球全体規模でのリアルタイム観測をめざした前例のない大規模な計画が進行中です。この計画は『アルゴ計画』と呼ばれるもので、2000年に始まった国際プロジェクトです。この計画には、水深2000mから海面までの間の水温・塩分値を約10日毎に観測するアルゴフロートを用い、衛星を通じて集められたデータは誰もが無償で利用できます。このフロートを世界中に約3000本投入し、約300km平均間隔で海洋の構造を観測します。
日本では海洋研究開発機構が中心となりフロートの投入・データ管理などを行っていますが、北海道大学水産学部でも練習船の航海を利用してフロートの投入や検証データの取得に貢献し、観測されたデータを基に、卒業研究や大学院の研究活動に利用しています。
魚を賢く獲るために
まき網、トロール網、魚たちをうまく獲るために様々な漁具が使用されていますが、これらの漁具が水中でどのような形になっているのか、その全体像を確認することは今までとても難しいことでした。私たちはコンピューター解析技術を用いて、複雑な操業をする大型漁具の水中形状も把握できるシステムの研究開発をしています。これは、魚がどのように漁獲されるのかを知るのに大切な情報を提供してくれます。一方、漁具に対して魚がどのような反応や行動をして漁獲されているのかを特殊機器を用いて詳しく調べ、漁獲過程を解明する研究も進められています。水産資源の持続的利用のためには、ターゲットとする魚種やサイズを必要な量だけ獲る技術開発が国際的に求められています。これを実現させるためには、こうした物理と生物の両面からアプローチしていくことが必要とされています。
宇宙から魚群を追う
人類最初の宇宙飛行士ガガーリンは、宇宙から地球をはじめて見て、「地球は青かった」といったことを知っていますか?地球は、その表面の7割が海におおわれているので、「青い惑星」とも呼ばれています。この広大な海でどんなことが起きているかを知るには、船で調べるだけでなく、宇宙から人工衛星を使って調べることがとても役立ちます。人工衛星は地球を100分間ぐらいで一周するので、あっという間に地球全体を調べることができます。また、海の色は「青」だけではなく、海の植物による生産力に応じて様々な色を呈します。その色のスペクトルや海の熱などを宇宙から観測して、生物生産やそれを支える地球環境の変化を調べることができます。