北海道大学 大学院水産科学研究院 大学院水産科学院 水産学部

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海洋生物科学科

海洋生態系を構成するプランクトン、ベントス、魚類、頭足類、鳥類、哺乳類等の多種多様な生物の形態、分類、生態、行動、生活史、進化ならびにその生産を支える海洋環境等に関する基礎的事項を体系的に教授し、水産資源とその環境の管理・保全・持続的活用に関する基礎知識と広い視野からの課題解決能力を備えた人材を養成します。

担当教員

※五十音順

研究紹介

科学の目でプランクトンを尾行

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    北方海域で最も多い植物プランクトン(珪藻)のいろいろ。 線対称・点対称な形をしており、分裂増殖します。

  • 海の表層、光の届く範囲には、肉眼では見えないような小さな植物プランクトンがたくさんいて、盛んに光合成を行っています。海洋全体で見るとその有機物の生産は、草原や森林などの陸上植物と同じくらいの大きなもの。これは、プランクトンの細胞分裂による増殖速度が、草木の成長に比べ著しく速いことによります。植物プランクトンは、動物プランクトンの餌となり、それをさらに魚や鯨などの高次の海洋生物が食べるように,海洋生物の営みを底辺から支えている重要な存在。しかし植物プランクトンは、光合成の際に窒素やリン、カリウム、硫黄、鉄、マグネシウムなど、微量ながらも栄養素を必要とします。このうち、海水中の成分で最も不足しがちなのが窒素とリン。つまり海の全ての生産は、窒素とリンが握っているのです。

魚の数から地球を見据える

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      スルメイカを長期間飼育するための水槽。衝突を防ぐために壁を見やすくするための縞模様が付いています。

    • 魚の数は子供の時代にほとんど決定されますが、そこには水温や餌、外敵などさまざまな要因が関係しています。その要因と死亡率の関係が明らかになれば、早い段階に親になる魚の数が推定でき、豊漁や不漁の予想や資源管理ができるようになります。生態学は生物のライフ・スタイルを解き明かす学問です。魚やイカ、プランクトンからイルカや海鳥まで、海洋生物の生態学は、地球温暖化現象や海洋汚染などに伴う海洋生物の資源変動や海洋生態系への影響、漁業活動と海洋生物の保全など全地球的な視野に立って解決しなければならない21世紀の重要課題にまで結びついているのです。

カニの生態を知る

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    ハナサキガニの交尾前ガード行動。オス(上)がメス(下)のハサミを握って守っています。オスは数日間もメスのハサミを握って守ってあげます。

  • おいしいタラバガニや毛ガニがだんだん減ってきています。いままでカニ類では資源保護のため卵を産むメスの漁獲を厳しく制限してきました。ところが、タラバガニやハナサキガニは産卵期にオス・メスがペアになり、オスは数日間もメスのハサミを握って守り続けることがわかりました。こんな行動をするカニ類にとって子孫を残すためには、メスに見合った数のオスが必要なのです。カニに限らず魚や貝やウニなど、海は私たちに多くの幸を与えてくれます。いま、あらためて彼らの生態をよく知ることが、減ってしまった彼らを増やす手がかりになるのです。