海の上のキャンパス「おしょろ丸5世」の初航海実習に密着!(1)

この記事は北海道大学 高等教育推進機構 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)が運営する「いいね!Hokudai」より転載しました。


みなさん、海のことをどれくらい知っていますか。私たちが暮らす日本は四方を海に囲まれ、その豊かな恵みに支えられてきた歴史があります。一方で、海の約9割はまだ解明されていない未知の領域です。人類の共通財産でもある海洋。いつの時代にも、船は海の謎に立ち向かう研究者たちにとって重要な役割を担ってきました。今年7月28日、これまで約30年間活躍してきた水産学部附属練習船「おしょろ丸4世」に代わり、「おしょろ丸5世」が竣工しました。今回は、その「おしょろ丸5世」にて実施される航海実習に密着します。

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おしょろ丸5世

 教育のプラットホームとして「世界で活躍する人材の育成」を目指す

北海道大学は、日本でも数少ない練習船を所有している大学のひとつです。「おしょろ丸」という教育のプラットホームを使い、座学だけではなく実践の場での経験を積むことで、世界で活躍する人材の育成を目指して様々な取り組みを行っています。

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海洋研究や、学生のための海洋実習など、1年中ほとんど休むことなく活躍するおしょろ丸。そして、研究や学生の学びのために、常に安全な航海を遂行する船員の方々。船の上ではどのような調査や実習が行われ、どのような生活をおくっているのでしょうか。取材してきました!

おしょろ丸の前で敬礼をする学生たち

おしょろ丸の前で敬礼をする学生たち

 学生たちの学びの場として

今回取材したのは、一般教育演習(フレッシュマンセミナー)「海のフィールドで試す」の乗船実習です。早朝から夜遅くまで次々に実施される盛りだくさんの演習内容にも関わらず応募者が定員を上回る人気の実習です。実習や講義について紹介しながら、新生おしょろ丸5世についてシリーズでご紹介します。

出港式

出港式

 一般教育演習(フレッシュマンセミナー)「海のフィールドで試す」の乗船実習

おしょろ丸を利用したフィールドでのグループ体験。そこでは、課題発見・問題解決型の自発的な学習能力を養います。社会に通用するような人間像を意識した論理的な思考や学問、社会の多様性を理解するものから、初めて知り合う学生同士がコミュニケーションを取りながらグループ学習を行い、価値観の違いや協調性を学ぶものまでかなり濃密な内容です。実習の最後には、プレゼン発表を行い4日間の成果を共有しました。

アッパーブリッジにて

アッパーブリッジにて

 おしょろ丸5世

初代忍路丸が1909年に誕生してからすでに100年以上が経ちました。今年の夏に竣工したおしょろ丸5世は、約1600t。全長約78.3mと街中を走るバス(約12m)のおよそ6倍の全長です。何人乗船できるか想像がつくでしょうか。なんと、最大搭載人員は99名!内部はどのようになっているのか、さっそくのぞいてみましょう。

おしょろ丸が停泊している港「函館どつく」と「おしょろ丸」と「函館山」

おしょろ丸が停泊している港「函館どつく」と「おしょろ丸」と「函館山」

おしょろ丸の錨(いかり)

おしょろ丸の錨(いかり)

食事をしたり、講義をしたり、くつろいだりと、人が集う空間である学生食堂

食事をしたり、講義をしたり、くつろいだりと、人が集う空間である学生食堂

ブリッジ(船の操縦をする部屋)

ブリッジ(船の操縦をする部屋)

ブリッジで行われた操船訓練の様子

ブリッジで行われた操船訓練の様子

アッパーブリッジ(船の最上階)で目視をしている様子

アッパーブリッジ(船の最上階)で目視をしている様子

毎食のおいしいごはんが調理される厨房

毎食のおいしいごはんが調理される厨房

学生部屋の2段ベッド

学生部屋の2段ベッド

なんと!おしょろ丸4世にはなかった電化製品たち 船内生活を快適にしてくれます。

なんと!おしょろ丸4世にはなかった電化製品たち
船内生活を快適にしてくれます。

 

いよいよ、おしょろ丸が函館どつくを出港します。

学生は陸にいる人に手を振りながら、これからはじまる4日間の実習に胸を膨らませます。

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次回からは、「遠隔無人探査機をつかった調査」「イカ釣りと解剖」「海洋プランクトンの採取と観察」「海中の水温や塩分の観測」「鯨類や鳥類の観察」「グループディスカッション」など、内容の濃い実習の様子をご紹介します。

 

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